第5回勉強会の報告

第5回勉強会は、NPO法人マザーハウスの岩崎風水さんにお越しいただき、刑事施設経験者の社会復帰についてお話しいただきました。

 「犯罪」と結びつく人々を「福祉的には要支援者」として捉え直すことで、その背後にある様々な問題・課題への具体的な支援の必要性が指摘されました。また、刑事施設への拘禁によって、自律性や自尊心の低下、社会適応能力の低下、(場合によっては)犯罪性がより深化するなど、新たな問題が生じかねない状況であること、それらが社会復帰をより困難にしていることも指摘されました。

 これらの問題は、出所後の生活の選択肢を大きく狭め得ることになっています。特に、出所後に「お金・住居・仕事がない」→「人間関係の欠如」→「教育・情報の欠如」→「感情抑制の困難」→「生きづらさ」へ等、時間の経過と共に「人生の選択肢」が狭まっていく様子をお話しいただきました。

 また長期にわたる刑事施設生活では、社会復帰に向けた意欲を維持し続けるのがとても難しいこと、「社会」に関心を持ち続けるための努力が、基本的に個人の動機付けによることも指摘されました。近年、刑務所での教育(一般改善指導、特別改善指導)の導入・改善も進んでいますが、岩崎さんのお話を伺って、そうした機会が十分に用意されているわけではないことを感じました。受刑に至る経緯の中で、教育的機会に恵まれなかった方も多く、その意味でも自律的な学びにつながるかどうかは、未だに個々の能力や努力によるところも大きいようです。

 新たな被害/加害を生み出さないために、その社会復帰をどのように支援するかは重要な課題ですが、その道のりの困難さを感じた内容でした。

社会復帰支援のあり方勉強会

「社会復帰支援のあり方勉強会」は、非行少年の学校や地域社会への復帰に向けた支援について勉強しています。非行少年は、当該非行に加えて貧困や虐待などの様々な問題を抱えています。司法・福祉・教育の枠組みを超えた、どのような支援・連携が可能なのかを考えています。 保護司・保護観察官・スクールソーシャルワーカー・研究者、大学院生など、様々な立場の方が参加しています。

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